精霊見習いが見た春季大会団体戦

・・・というのをノリで書いてしまいました、OB一年目の横山です。短くまとめようとしても気付けば長くなってしまうので、時間のたっぷりあるときにお読みください。
※文中の局面図や指し手は記憶に基づいて再現しているので、不正確な部分があるかもしれません。また、掲載に関して問題がありましたらお手数ですがコメント欄でお知らせください。




偉大な先輩である藤谷さんが「将棋部の精霊的存在」と言われるようになったのが、およそ1年ほど前からだっただろうか。それから月日は流れ、いつの間にか自分も引退、言ってみれば「精霊見習い」のような立ち位置になった。

引退した身なのだから、将棋部とは今までよりもほんの少しだけ距離を置いて、部室に顔を出すのも週1回くらいにするのが妥当なのかな・・・と最初は考えていたのだけれど、なんだかんだで暇な日には部室に遊びに行っているし、部員たちもそれが自然だというふうに扱ってくれている。地味にありがたいことだ。

そんなわけで、今回の春季大会を応援(冷やかし?)しに行くことになったのも極めて自然な流れだし、自分としても特に迷うことはなかった。秋はさすがに遠すぎるから行かないと思うが・・・。



3日の12時半頃に会場の仙台市民会館へ到着。少し早く来すぎたようで、岩大の部員は誰も来ていなかった。高校の後輩でもある東北大の船橋くんが、自分が現れたことに驚いて「まさか留年したとか・・・」と聞いてきたので、慌てて「応援です」と答えておく(留年したことにして大会に出るべきだったか・・・)。
しばらくすると岩大の部員も続々と到着し、この日は(伏線)無事に全員揃った。開始前にチョコレートを配り、脳に栄養を補給しておいてもらう。本当は一緒に団体戦を戦いたいのだけれど、精霊見習いにできることはこれくらいしかない。

●1R 対山形大学戦

対戦カードと戦形は以下の通り。

加賀谷−土屋 (石田流対居飛車穴熊)
相羽−大嶋 (三間飛車対居飛車穴熊)
花渕−小林 (相振り飛車)
田内−玉澤 (角交換振り飛車対居飛車銀冠)
桐原−田部井 (矢倉対菊水矢倉)


加賀谷先生は強豪の土屋さん相手にも臆せず堂々と戦い、作戦勝ちから鋭く攻め込み優勢になっていた。これは大金星もあるか、と興奮気味に見ていたが、終盤に痛恨のミスが出て逆転負け。ゆっくりではあるけれども、着実に強くなってきていることを感じさせる内容だった。
相羽くんは、相手が向飛車に振り直し速攻を見せたのに対しても穴熊を目指したのが疑問で、苦しくなってしまった。中盤以降は一方的になってしまい、本来の力が出せないまま終わってしまったのが残念なところ。
花渕くんは序盤、玉形の整備を後回しにしたのがたたって囲いが不安定なまま戦いになってしまったが、苦しくなってからの指し回しが本当に強かった。自陣に手を入れつつ、的確に相手の嫌味なところを突いていく。

花渕−小林戦

この将棋は棋譜をとっていたのでずっと見ていたのだが、図で▲3九金と寄ったのには感動した。厳密な意味での最善手かどうかは分からないけれども、見た瞬間にいい手だと分かる部類の手だと思う。以下は相手のミスもあって素早く後手玉を寄せきった。

加藤先生は途中少し苦しい局面もあったようだが、難解な捻り合いを制してなんとか勝ち。桐原くんは構想の部分でのミスで苦しくなり、終盤はかなり際どいところもあったがギリギリのところで届かなかった。

結果は惜しくも2−3負け。「将棋で勝つのは運、負けるのは実力」とは(部内の一部で)言われているけれども、内容的には3−2くらいになっていても全然不思議ではなくて、実力的には決して劣っていなかったように思う。


余談だが、終了後に現役vsOBの交流試合が行われた。自分は東北大の堀井くんと相振りを指し、爽やかな無理攻めを爽やかに受け止められ、爽やかに斬られた。堀井くんは爽やかな好青年だった。

●2R 対東北大学戦

2日目の開始は昼過ぎから・・・だったのだが、なんと花渕くんが時間になっても現れないというアクシデント。どうやら寝坊してしまったようで(開始時間が遅いから油断してしまったのかな?)、到着したのは対局開始から10分弱が過ぎた頃。さすがにかなり慌てている様子だったので、手招きして「席に着いたら1分でも2分でも、深呼吸して気持ちを落ち着かせてから指すようにして」と伝えてから送り出した。

相羽−永澤 (角換わり右玉、千日手→指し直し局の戦形は失念)
花渕−船橋 (四間飛車対5筋位取り)
田内−浅野(翔) (相振り飛車)
桐原−堀井 (ゴキゲン中飛車対超速▲3七銀)
佐々木−木村 (石田流対居飛車)


相羽くんは角換わりの後手番で右玉を採用し千日手、指し直し局は中盤で優位を築き、少し怪しくなりかけた瞬間もあったが最後はしっかり勝ちきった。
花渕くんは、おそらく初めて目にしたであろう、5筋位取りで△3一角〜△6四角と転換してから玉を固める「フナハシステム」(自分が10年近く前にトラウマを植え付けられた戦形で、勝手にそう呼んでいる。船橋くんゴメン)への対応に苦しみ、中盤で差を付けられてしまった。
加藤先生は、錯覚から序盤に二手損してしまい、そのまま厳しい攻めを浴びて押し切られてしまった。相手が強いということもあったが、加藤先生らしくない将棋だった。
桐原くんは中盤が難解そうな形だったが、穴熊の堅陣を活かした猛攻を浴びて敗れた。
佐々木くんは団体戦デビューの一局。デビュー戦としては厳しすぎる相手で、やや分の悪い捌き合いになったが、図から素晴らしい粘りを見せる。長手数だがぜひ観賞していただきたい。

佐々木−木村戦1

図から△4二金寄▲2六桂△4三銀▲6八銀△2四歩▲5九金引△8六歩▲8八竜△5九竜▲同銀△4五歩▲7七歩△4六歩▲6四歩△2五歩▲6三歩成△2六歩▲6二飛△2七歩成▲同銀△2六歩▲同銀△4四角・・・

佐々木−木村戦2

お互いの「負けたくない!」という気持ちが伝わってくる、レベルの高い攻防だと思う。最後は木村さんが佐々木くんの粘りを振り切って勝ちとなったが、佐々木くん大善戦の一局だった。

チームとしては連敗だが、黒焦げ回避となった相羽くんの白星が光る。最終Rの学院戦、勝てば3位で、山形大−東北大戦の成績によっては2位も狙える状況だった。大事な一戦を前に、自分は再びチョコレートを買いに走った(昨日とは違うやつ)。

●3R 対東北学院大学戦

加賀谷−西田 (相振り飛車)
相羽−山崎 (相掛かり模様力戦形)
花渕−小塩 (相振り飛車)
田内−斉藤 (石田流対居飛車左美濃)
桐原−工藤 (相掛かり・ヒネリ飛車)


今回はその場のノリで相羽くんと花渕くんの2局同時棋譜とりに挑戦したので、他の3局はあまりしっかりと見ることができなかった。
加賀谷先生は相中飛車の戦形になっていて、美濃の端歩を受けたのを咎められ、突破を許してしまった。
相羽くんは力戦調の将棋。序盤に打った自陣角が不発気味になるが、はっきりと形勢を損ねるほどにはならなかったのが不幸中の幸いか。

相羽−山崎戦1

図から▲7五歩△8五桂▲7四歩△6三金▲7三銀△5二飛▲8四銀成△7七桂成▲同金寄△7五銀▲7三歩成△同金▲同成銀△6六銀▲5五歩△同角▲6六金△同角▲7七銀△5七角成▲6八金打・・・

相羽−山崎戦2

▲7三銀のところでは▲7六銀と逃げる手の味が良さそう。銀打ちは重い攻めだが、本譜のように▲7三歩成△同金▲同成銀と進むなら成功している形か。駒得したので▲7七銀〜▲6八金打と手堅く指すのが大人の戦い方で、ここは相羽くん良し・・・だったのだが、課題の終盤で「やらかして」しまった。普段の相羽くんなら3秒で指せるような手のはずで、終盤力が足りないというのではなく、大会独特の空気やプレッシャーに押し潰されてしまったのだろうと思う。逆転されても気持ちを切らさず最後まで執念を見せてくれたが、勝利の女神は戻ってきてはくれなかった。

花渕くんも中盤で優位を築いたが、手堅く受け続けたのが裏目に出て最後は受けきれなくなってしまった。相手の攻めが一段落したところで攻め合いを目指せば有望だったのだが、相手玉が手つかずの穴熊ということもあってなかなか踏み込み辛いところだったか。
加藤先生は中盤で悪くなったようだが、終盤に相手のミスが出て逆転勝ち。本人はかなり調子が悪くて全体的に内容も酷かったと言っていたが、そんな状態でもしっかり仕事をするあたりはさすがエースといったところ。
桐原くんは学院のエース工藤くんに斬られてしまい、今大会は全敗という結果。当たりがきつく止むを得なかった部分はあるが、本人は山大戦の将棋を悔やんでいた。それこそ工藤くんのようなスーパーエース級でなければ、たいていの相手とは堂々と戦えるくらいの棋力に達していると思うので、秋季大会での奮起に期待したい。

●全体を通して

2日間観戦していて最も印象的だったのが若い2人(花渕くんと佐々木くん)の将棋で、2人とも苦しくなっても簡単には負けないぞという気迫が、見た目や指し手から強く伝わってきた。もちろん6人全員が同じ気持ちを持って戦っていたと思うけれども、花渕くんと佐々木くんのひたむきさはその中でもずば抜けていたと思う(他の4人は必死になって指す姿を何度も見てきて、ある意味見慣れてしまったということもあるのかもしれない)。自分なんかは特に、学年が上がるにつれて肩の力を抜いて指すようになっていったタイプなので、2人を見ていて忘れていた何かを思い出したような気がした。

上級生の4人は調子などの面もあってやや苦しんでいた印象を受けたが、その中でもそれぞれの持ち味がしっかり出ていた。後輩たちは先輩たちの技を見習い、盗む。先輩たちは後輩たちに技を伝え、後輩たちのひたむきさを見習う。そんな関係を部内で築いていければいいのかなと思う。

去年までとは違う外側の立場から団体戦を見て、やっぱり団体戦はいいなと思った。同時に、今の岩大将棋部はいいチームだと思った。数年後に岩手を離れることになっても、精霊としてそっと応援し続けていたい。

最後に、棋譜をとっていて手が震えるような熱戦を見せてくれた部員のみんなと、応援に駆けつけてくださった先輩OBの山川さん、菅原さん、下田さんに感謝の意を表して、相変わらずの長文を締めたいと思う。

春季大会個人戦結果など

春季大会の個人戦には相羽、加賀谷、花渕が参加して、花渕がベスト16まで進むも、東北大の船橋氏に打ち取られました。私相羽と加賀谷は予選敗退という結果になってしまいました・・・。


春季大会の団体戦では各人の課題がそのまま結果として表れる形になったと思います。また、強豪たちと指したり、その将棋を観戦していると大きな力の差を感じました。今回は残念な結果となってしまいましたが、来る秋季大会に向け日々頑張っていきたいです。


いくら自分が弱いとはいえ、あの予選ブロックは酷すぎるよ・・・。

春季大会3R結果報告

岩手1―4学院
加賀谷●―○西田
相羽●―○山崎
花渕●―○小塩
田内○―●斎籐
桐原●―○工藤

0勝3敗で最下位となりました。

山大戦、学院戦に関しては結果が逆になってもおかしくない展開でしたが負ける辺りが実力だと思います。

各自で思うことがあると思うのでしっかり反省して今後につなげたいと思います。

主将としてもひどい将棋ばかりだったのでしっかり反省したいです。

明日から個人戦なので参加するみなさん頑張りましょう。

春季大会2R結果

対 東北大学戦

相羽○‐●永澤(千日手指し直し)
花渕●‐○船橋
田内●‐○浅野
桐原●‐○堀井
佐々木●‐○木村

1-4負け

最終Rは学院大戦です。

春季大会1R結果

対 山形大学戦

加賀谷●―○土屋
相羽 ●―○大嶋
花渕 ○―●小林
田内 ○―●玉澤
桐原 ●―○田部井

2−3で負けでした。
明日は2Rが対東北大学戦、3Rが対東北学院大学戦となります。
プロフィール

Author:gandaishogibu
個性派揃いの岩大将棋部です。サークル棟の1階で、基本的に休日以外はいつも活動しています。

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